医療に関する不祥事が明るみに出るたびに医療従事者のモラルが厳しく問われる。現在、特に医師は 社会からの攻撃のターゲットになっている。
たしかに医療にモラルは必要である。しかしモラルが必要なのは医療の世界だけであろうか。モラルが求められるという点においてはどの領域でも差はないのではないのだろうか。
医療事故が生じると医師のモラルが問われる。しかし医療の現場ではこういった一種の精神論だけで解決できることはもう多くはない。医療に携わる医師、特に勤務医は精神的にも肉体的にも疲れ果てている。私自身は、今、勤務医のおかれている環境の中で皆よくがんばっていると思う。医療事故がこれだけ少ないのは奇跡とさえ思っている。
私たちが生きていくということは、すなわち常に危険にさらされているということである。医療を受けるときだけ安全であるなどということがどうしてあろうか。「その手術は安全ですか」、「その手術は100パーセント成功しますか」、こういった質問は患者にとっては当たり前のものと感じられるであろう。しかしこのような問いかけを同じ患者からしかも何度も繰り返しぶつけられる私は返答に窮する。
「医療行為はロシアンルーレットと同じです。必ず弾が入っています。」
最近、私はこのように答えることが多い。
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